松原良香コラム“サッカー人”

松原良香コラム“サッカー人”

名波浩さん

第29回 名波浩さん

昨季限りで引退した名波浩さんにまず聞きたかったのは、「まだプレー出来たんじゃないですか?」ということでした。

今のJリーグには、ある一定の年齢に達すると「ベテラン扱い」し、自動的に戦力外とする悪い傾向があります。運動量やスピードで勝負する選手ならばともかく、技術や頭脳のある選手は、年齢を重ねるごとに凄みが増すはず。まさに名波さんはそんな選手でした。
 
「いや、もうプレー出来なかった。足ヒザが痛かったんだ。怪我との付き合いは長くて現役時代は元気な時よりも、怪我をしてからの方が長かったような感じがする。だから、引退をあっさり受け入れることができた」

名波さんと知り合ったのは、ボクが高校1年生の時。地元の静岡には中高生の有望な選手を集めて練習する「金曜トレセン」という機会がありました。2歳上の名波さんは、その中でも光った存在でした。左利きで、とにかくうまかった。

子供の頃からどんな練習をしていたのかと聞いたら、あっさりした答えが返ってきました。

「特別なことは何もしていないよ。きちんと基礎練習をやり、あとゲームを良くやっていたかな」

名波さんは順天堂大を卒業後、95年にジュビロ磐田に入り、そこでチームメートになりました。彼とプレーしていて思ったことは、コーチングが上手なことです。

名波さんは、その風貌から寡黙な職人タイプだと勘違いされることがあるんですが、ピッチの中では、大きな声で指示を出します。それが細かく的確なのです。

「2メートル、左!(にポジションを取れ)」

「(相手)右(側)だけ切っておけば大丈夫!」

といった具合です。一緒にプレーしていると本当にやりやすい選手でした。

彼は、身体が大きいわけでもないし、足も速くない。今の日本代表の中に入れば、身体能力を比較した場合、劣っている部類に入るでしょう。


しかし、一緒に練習したことのある選手なら全員が知っていますが、ボール回しなどで彼からボールを奪うのは、本当に難しい。相手の動きを読むことが出来、ミスもしない。彼のようなタイプの選手は、日本代表に必要だと思います。

そんな彼に今の日本代表について聞くと―。

「W杯に出場するのは間違いないね。ただ、本大会でグループリーグを突破し、決勝トーナメントに進出できるかどうかは別の話。世界と"個"の力で勝負しても勝てない。いかに選手たちが連動して戦うか。そこに掛かっていると思っている」

まさにその通りだと思います。今後、指導者を目指すと言う彼の育てる選手が、今から楽しみです。(隔週金曜掲載)

このコラムは、5月1日発行の日刊ゲンダイに掲載されました。

2009年5月


▲PAGE TOP


FELICE(フェリーチェ)サッカースクール&F.C.   ターキッシュエアライン   adidas アディダス   財団法人 日本サッカー協会   JリーグOB会   一般財団法人 TAKE ACTION FOUNDATION
Copyright (C) 2005-2014 サッカースクール&イベントコーディネート FELICE All Right Reserved.