松原良香コラム“サッカー人”

松原良香コラム“サッカー人”

ファブリス・デュボワさん

第81回 ファブリス・デュボワさん

今回のサッカー人は、フランスサッカー協会のクレールフォンテーヌ国立研究所(エリート選手育成機関)のシャトールー校の校長である、ファブリス・デュボワ氏です。ファブリスには今回、日本サッカーのさらなるレベルアップを目指して、『指導者』の指導をしてもらうためにフランスから来日してもらいました。フランスは育成大国としても知られています。

ファブリスに来てもらったのは、指導者のレベルアップなくして選手のレベルアップはないという観点から是非必要だと考えたからだ。特にファブリスは中学〜高校世代に対する指導のスペシャリストなので、暁星国際などで指導している僕も含め、フェリーチェに関係するスタッフたちのレベルアップに繋がればという期待があった。

指導のために来日してもらった期間は約2週間。彼はフランス語しか話さないので、自分の言葉で直接話したい気持ちはあったが僕はフランス語は少ししかできないから、茂木さんに間に入ってもらった。茂木さんもいずれ『サッカー人』で紹介したいと思っている人物で、今回のファブリスの件では大変尽力してくれた。暁星国際に関してもフランス人が創立者で、子供たちは英語のほかにフランス語も習っているからその点もうまく繋がった。

どの指導者に来てもらうかということについては、もちろん誰でもいいというわけではなかった。ファブリスに来てもらおうということになるまでに、茂木さんと3年くらいかけて慎重に選んだ。僕がフランスに行ったり茂木さんの帰国時に日本で話し合ったりする過程では、来てもらいたいと思った人に来てもらえないというようなこともあったが、最終的に茂木さんがファブリスという素晴らしい指導者を呼んでくれて、実現に漕ぎ着けられたのは本当によかった。

ファブリスの指導において素晴らしいなと思ったのは、まず「幅が広い」ところ。どおいうことかというと、対応できる世代の幅広さについてももちろんそうだが、六本木、浦安、横浜、木更津、浜松など、回ってもらった地域によってレベルの差はかなり大きいのに、幅広く対応できるところはさすがだなと思った。事前にこちらからもっとしっかりとレベルなどの情報を提供できていればよかったが、こちらの配慮不足で必ずしも充分ファブリスのサポートができたとは言えなかった。それにもかかわらず、文句のひとつも言わず的確な指導をしていたのにはプロフェッショナルの指導者だと感心した。

Jリーグや日本代表というようなレベル差が小さく巧い選手たちに対するものではない今回のトレーニングでは、当然巧い選手もいれば初心者もいて、そうなるとレベルの基準をどこに合わせたらいいのかという問題が出てくる。特に、初めてサッカーをする子に対する指導には特有の難しさがあるが、ファブリスは情報が充分に与えられていない状況でも、知らない子供たちに対して、会場に関係なく非常に優れた指導をしていた。

今回の目的は指導者講習会だったから、ファブリスが指導者としてどういうふうにトレーニングをオーガナイズしていくのか、さらにそれをどういうふうに指導者に伝えていくのか、ということに注目していた。ファブリスの指導は非常にテンポがよく、バリエーションもたくさん持っている。言葉が通じないにもかかわらず子供たちがみるみる変化して、最後には良くなっているというのは、見ていてほとんど驚きに近かった。

トレーニングは常に試合に直接繋がるようなものになっていて、無駄のない、効率のいい内容で構成されている。時間も最大でも90分で、だらだらと長くやるようなことはない。そしてその90分のなかで、どれだけ集中して効率的にトレーニングできるか、どれだけ試合に近いかたちでトレーニングができるか、ということが常に意識されているのが、彼の練習の特徴だ。これは当然のことだが、指導者は気をつけていないと自分のエゴでトレーニングをおこなってしまっていることがある。「自分はこういうトレーニングをしたいからこういうふうにやる」という時に、自分のプランに入り込んだり、目先のことにとらわれて近視眼的になったりして、選手が見えなくなってしまうことがあってはいけない。あくまでもプレイヤーズファーストで、すべての判断基準はそこにあるべきだ。

その点、ファブリスは本当に大人で、冷静に淡々とトレーニングに取り組む。子供たちにかける声のトーンも、必要なら大きく鋭い声も出すが、感情にまかせて怒鳴るようなことは決してしない。でも普段は温厚で大人しい人柄で、そのあたりの使い分けもプロフェッショナルだった。

今回、ファブリスに日本まで来てこうやって教えてもらったことを、しっかりと次に繋げていかなくてはいけない。暁星国際のスタッフには、すでに変化が見えている。暁星国際のスタッフたちは、常にファブリスと行動を共にしていたわけではないが、ファブリスの指導を直接見て、何のために彼が日本に来てくれたのかということをしっかりと理解してくれたようだ。それが僕がいちばん求めるところだったし、これからはそういう収穫を、暁星国際だけではなく、お世話になっている各市町村の人たちにも広げていって、全体のレベルアップに繋げていけるよう、努力していきたい。

ファブリスとは時間がたつうちに打ち解けてきて、日本食も食べに行ったりするなかで、今度は僕がフランスに行くという話も出た。この繋がりは大切にしたいし、僕がフランスに行ったり、ファブリスにもまた来年、もしチャンスがあったらぜひ来てもらいたいと思っている。

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