松原良香コラム“サッカー人”

松原良香コラム“サッカー人”

八十祐治さん

第82回 八十祐治さん

Jリーグ、ひいては日本のサッカー界において、セカンドキャリアというのは重大な問題であり、改善しなければならない重大な課題でもある。
努力を重ねてサッカー選手になるという夢を実現した後には、いつか必ず引退すべき時というものがやってきて、そこには、その先、どういう夢を持って、どうやって生きていくか、ということを考えなければならない現実がある。

たしかにサッカー人口が増えて、Jリーグや日本代表、ヨーロッパのチームを目指す子供が多くなるということは、選手のレベルが向上すること、選手層が厚くなるということでもある。
しかし一方で、サッカー選手になったために、セカンドキャリアをどうするか、もっと単純に言えば、引退後どうやって食べていくかということを悩まなければいけない人間が増える、というようなことになってしまうようでは、サッカー先進国にはなれない。

今回、紹介する八十祐治さんは弁護士で、先日大阪で(2013年8月)、知り合いの弁護士を通じて初めて会った人だった。
ただし、彼はかつてJリーグでプレーしていた元サッカー選手。ガンバ大阪から始まって、いろいろなチームでプレーをして、その後は社会人の横河武蔵野というチームでJFLでもプレーしていた。
その頃は今ほどJFLでプレーする環境は整っていなかったから、朝から仕事をして、夕方からみんなでサッカーをするという生活をしていたわけだけど、そういう生活のなかで、プロとアマチュアの違いというものを感じながら、自分のセカンドキャリアを模索していた。
そしてやがて引退することになり、ある会社に勤め始めたものの「自分のやりたいことはこれじゃない」と考えて目指したのが、弁護士だった。

どうして今回《サッカー人》で、初めて会った八十さんを紹介しようと思ったかというと、それはやはり、サッカー選手を引退した後、弁護士になりたいと思い、セカンドキャリアとして夢を実現した人だから。
相当の努力をしただろうし、努力するために必要なエネルギーも持った人だということ。

サッカー選手を引退して弁護士になるという、普通だったら考えられないようなとてつもないことを、彼はかたちにした。話には出なかったが、相当な努力があっただろうと思う。
しかも今は弁護士も、歯医者やコンビニよりも多いって言われるような時代になっていて、司法試験に合格してライセンスを手に入れたら、後は順風満帆というわけではない。
でも、敢えてその世界に自分から飛び込んでいって、今は、事務所に所属する5人の弁護士と、刑事事件などさまざまな事件に取り組んでいる。
サッカーとはまったく接点のない未知の分野で活躍している八十さんは、本当に素晴らしいと思った。
大阪では、お茶を飲みながらいろいろ話をしたが、物腰がやわらかくて、話やすくて、にこにこして気さくで、本当に爽やかな人だった。
弁護士になった今でも、月に2回サッカーをしていて、やっぱりサッカーで育ってきた人間だから、サッカーのために何かしたいと考えているという。
弁護士になるという夢を実現できた人だけあって、毎日一生懸命生きているというか、エネルギーを感じた。

弁護士の仕事には自分のやりたいこともあれば、必ずしもやりたいことではないが引き受けざるを得ないことも、いろいろあるだろう。
そういう中で、彼は将来的にはサッカーの仕事もやりたいと考えていて、それにはまず、サッカー以外のことをしっかりできるようにならなければならないということで、今、取り組んでいる。
その姿勢に強く感銘を受けたし、今後、こういうOB選手こそがクローズアップされるべきだ。

もしかしたら僕が知らないだけで、ほかにも引退後、弁護士や、さまざまな分野で活躍している人がいるかもしれない。
そういった、サッカーとは直接関係がない方向に進む人が注目されるようになってこそ、日本サッカー界の土台となるものが出来上がったといえるだろう。
そして、そういう部分も含めて充実するということが、先日のウルグアイ戦のように世界を舞台にして闘う日本のサッカーに、やがて反映されていくことになるはずだ。

僕も現在、JリーグOB会に携わらせてもらっている。
携わらせてもらっているということは、僕だからやれることがあると期待されている部分もあるだろう。
そうであれば現場でも弁護士である八十さんだからこそできる、ということは当然あるだろうし、日本のサッカーにとって八十さんのような人はきっと必要になると思う。

是非今後、日本のサッカーのために一緒に取り組んでいけたらと思っている。

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