松原良香コラム“サッカー人”

松原良香コラム“サッカー人”

澤登正朗さん

第83回 澤登正朗さん

今回紹介するのは澤登正朗さん、改めて説明するまでもない名選手だ。
僕は「ノボリさん」と呼ばせてもらっている、東海大一高の先輩でもある。 同時期に高校にいたわけではないけれど、僕が子どもの頃に東海第一高に入りたいと思うようになったきっかけの1人だ。

今でも覚えているのが、国見高校と確か国立競技場で試合した時のこと。
その時のサッカー番組で、ゲストで出演していたカズさんがノボリさんにインタビューしていた姿もすごく懐かしいけれど、その時のノボリさんは小柄ながらもテクニックがあって、負けん気の強さと言ったらもう半端じゃなかった。
右足と左足で自由自在にボールを操っているのもすごかったが、何といってもフリーキック。正確無比なフリーキックを蹴っていた。

その後、プロの選手になってからも、キャリアを通じてフリーキックはノボリさんの代名詞だった。
ノボリさんがボールの近くにいる時には本当にゴールの予感がしたし、真のミスター・エスパルス、ナンバー10。
そういう大活躍した選手だったし、当時は僕も、プライベートでも食事に連れて行ってもらったり、いろいろな相談もさせてもらったりと、とてもお世話になった。

少し話はそれるけれど、ノボリさんは、サッカー界でゴルフをやる人の中でいちばん上手いと言われている。
選手時代からもノボリさんがゴルフに行っていたのは記憶にあって、プロ並みに上手いという噂だから、止まっているボールを正確に打つという点で、ノボリさんの中ではゴルフとフリーキックには共通点があるような気がする。
もしかしたら、パスやシュートを自分の蹴りたいところに蹴ることができるノボリさんのプレーは、すべて同じ視野で見ることができていて、繋がっているのかもしれない。

さて、そういうノボリさんをなぜ今回で取り上げたかというと、僕はこれは素晴らしいことだなと思うんだけれども、ずっとエリートで来たノボリさんが今年、常葉大学の監督に就任したんだよね。
そのまま清水エスパルスの監督になるか、あるいはフロントに入ってもよかったかもしれないが、大学のサッカー部の監督になった。
ご存知の通り、テレビ朝日の報道ステーションでサッカー担当の仕事も一方でしながら、その上で常葉大学の監督を引き受けて、頑張っている。

先日ひさしぶりに電話で話した時は印象が変わったなと思った。プレイヤーだった頃は、当然周りの人間は仲間でもあるけどライバルでもあるから、周囲と打ち解けるというよりは鋭いイメージがあった。
でも今はその頃とはだいぶ変わってまるくなったというか、接しやすくなっていて、ああ、指導者になったんだなと感じた。

この間の総理大臣杯では、常葉大学は残念ながら1回戦で、東京国際に3-2で負けてしまった。
僕も観に行っていたので、試合後に「残念でしたね」という話をしたら、ノボリさんは「いや、ヨシカ、フリーキックで2点やられちゃってさ」と言っていたんだよね。

この言葉の意味は、フリーキックで2点取られるということが、ものすごくもったいないことだということだと思う。
フリーキックは、もちろん中には魔法のようなすごいシュートもあるけれど、基本的には止まってるボールをきちっと守ってればいいだけの話だから。

ただ、就任1年目で、もっと言えばまだ就任して数ヶ月だけれど、常葉大学は確実に、しかも大きく変化している。
しかもノボリさんは、報道ステーションであるとかテレビ朝日の仕事やりながらだから、これは本当にすごいことだと思う。
常葉大学には改善すべき点がまだいくつかあるだろうし、その中で自分がやるべきことをして、進むべき道を1歩ずつ着実に歩んでいるノボリさんは、本当に素晴らしいと思う。

最初の現場が常葉大学の監督から始まったわけだけれど、近い将来、ノボリさんには間違いなく、プロのサッカークラブからのオファーが来るだろうし、ノボリさんはやらなければならない人だ。
僕としては先輩の背中を見ているという気持ちもあるし、これからも頑張ってほしい。

ノボリさんのコーチングの良いところは、余計なことを言わないところだと思う。
もちろん今でもサッカーをやらせたら本当に上手いしね。やって、見せて、育てる。
問いを投げて、選手がどう動くか、反応するか、というところを見て、判断する。
僕の悪いところは、情報を多く与え過ぎてしまう、答えまで全部教えてしまうところだから、そのあたりがやっぱり絶妙というか、コーチングの質として非常に優れていると思う。

それができるのは、自分の体でもプレーを実際に見せることができるから。
プレーの見本を示せもコーチングもできる指導者なんていったら、素晴らしい指導者になることは間違いない。
それはノボリさんが多様なシチュエーションで常に活躍してきたということ、具体的に言えば何人も替わる監督のなかでずっと中心選手としてやってきてミスター・エスパルスと呼ばれ、代表選手でもあったしオリンピック選手でもあった、という豊富な経験によって培われてきたものだろう。
ノボリさんの中にはきっと、自分にとっての理想の監督像がはっきりあるんだと思う。

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