松原良香コラム mano a mano
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松原良香コラム mano a mano

松原良香コラム mano a mano

第3回 北野克也さん
投資事業家
暁星国際学園後援会副会長

北野克也さん
異文化や異業種から学ぶことは本当に多い──現役時代に国内外でプレーし、引退後は様々な立場の方に出会ってきた僕の肌触りです。
今回は暁星国際学園の後援会副会長を務める、北野克也さんをゲストにお迎えしました。
日本国内にとどまらずアジアでビジネスを展開している北野さんのお話にも、日本サッカーが強くなるヒントがたっぷり詰まっていました。

松原 暁星では僕がGM、北野さんはアストラ後援会に所属していただいて支えて頂いているという立場ですが、普段のお仕事についてはうかがったことがなかったですね。

北野 簡単に言うと、投資事業をやっています。分野を限らず、国内外にとどまらず展開しています。現在は国内及び香港において、それぞれ数社投資て、これから中国でもビジネスをしていこうと考えています。

松原 そういえば、香港や中国へ頻繁に出張していますね。会話は英語ですか?

北野 そうです。香港は英語が当たり前に通じますが、中国はそうもいきません。英語が通じずに困ることも多いですね。人々の気質も違います。香港は究極の自由主義ですが、中国は社会主義国として成り立ってきた。経済には自由主義が取り入れられていますが。

松原 ということは、香港と中国では、仕事の進め方を変えるわけですか?

北野 変えますね。香港は日本の感覚でもほぼ問題ありません。一方、中国は完全にルールが違う。中国国内の企業をパートナーとしてやらないと、絶対に失敗します。

松原 そうなんですか。

北野 ここ10年間中国でのビジネスを振り返った時に、ブランド力のある大企業は中国側も歓迎するんです。現地で雇用も生まれますから。これが中小企業になると、日本企業の技術やサービスは容易に盗まれ、すぐに自分たちで新事業を起こす。現地企業とパートナーを組んでやらないと、100%と言っていいほど成功しません。

松原 パートナー探しが重要なわけですね。

北野 ご存じのように中国は巨大な市場で、成長も著しい。中国進出を目ざす企業は多いですが、競争は激しく、権利は守られないで、まあホントに難しいです。成功例ばかりが取り上げられますが、その裏側には何十倍もの失敗例があります。

松原 サッカーはひとりでできません。同じように、ビジネスもひとりではできない。限界があると思います。会社というチームをまとめるために、北野さんが心がけていることは何でしょう?

北野 部下にできるだけ権限を委譲して、自分は重要な意思決定に時間を割けるようにしています。とくに海外へ会社を持ち出すと、自分でコントロールできる範囲は狭まるので、現場でマネジメントできる人材をちゃんと配置して、育成できる仕組みを作っていく。

松原 海外でトラブルが発生しても、すぐに現場へは行けないですからね。

北野 それもありますし、自分がすべてにおいて深く入り込まないことも大事だと思います。変化の激しい時代で、文化やルールも異なってくると、組織としての柔軟性が問われますからね。

北野克也さん
松原 先日のロンドン五輪では、男子がベスト4に進出し、女子は銀メダルを獲得しました。北野さんは日本のサッカー界にどのような印象をお持ちですか?

北野 新人類になってきたな、という感じを受けます。ヨーロッパのクラブへ移籍する選手がすごく多くて、選手みんなの目線が明らかに海外へ向いている。意識の底上げ感が見受けられます。日本地図だけでやっていた人たちが、世界地図を見ながらやっているのでは。

松原 なるほど、分かりやすい表現ですね。

北野 ビジネス的な視点に立つと、ヨーロッパ市場での日本人選手の価格はまだ安いと思うんですね。ドルトムントは香川を、仕入れ値よりかなり高い金額でマンチェスター・ユナイテッドへ売却できた。そういう意味で、日本のマーケットは人材の宝庫なのかな。ロンドン五輪も格好のプレゼンテーションになったんでしょうね。

松原 選手がどんどん海外へ飛び出していくことで、日本のサッカーのレベルは間違いなく上がっていきます。それは非常に喜ばしいことですが、僕自身は考えることがあるんです。

北野 ぜひ聞かせて下さい。

松原 日本人の指導者についてなんですが、知識量はものすごい。でも、奥深さを追求できていない気がするんです。ロンドン五輪でメキシコに1対3で負けた要因を掘り下げると、指導にも行き着くわけで。そこの奥深さがないと、次のステップへ行けないと思うんですよ。

北野 指導者の話でいくと、日本はまだまだ年功序列の社会ですから、リーダーとか社長が年次で決まっていく。欧米は最初から社長と一般社員を分けていますよね。たとえば、日産のカルロス・ゴーンは、入社当初から『キミは社長候補だ』として育てる。サッカーも監督と選手は、それぞれに育ち方が違う。ジョゼ・モウリーニョは特徴的ですよね。

松原 彼は名選手ではなかったです。

北野 スポーツもビジネスも同じことが言えるのでしょうが、日本には出る杭は打たれるカルチャーがあるから、人材が育ちにくいのかもしれません。海外では若いリーダーが当たり前で、周囲もそういうものとして受け入れるけれど、日本では『若いヤツが偉そうに……』となる。そうすると、どうしても過去の事例をなぞりがちになる。

松原 元ウルグアイ代表のパオロ・モンテーロが来日した際に、こんなことを話していたんです。日本のサッカーはスピーディで技術もしっかりしているけれど、みんな一緒に見えると。

北野 平均的、画一的、ということですね。

松原 だから、日本からマラドーナ、メッシは生まれないと。考えさせられましたよ。

北野 国が成長期にあるとか、発展している最中は、平均的で良かったと思うんです。みんなが一緒になって組織としてまとまり、年功序列で昇進していった。システムが時代に合っていましたよね。でも、尖ったものが現われないと、新しい付加価値は生まれこない。そう考えたときに、日本式の年功序列や横並び主義が、いまの時代には不適切に感じられます。とてもいい部分なんだけれど、いまの時代においてはマイナスに作用してしまっている。

(以下、次回へ続く)

スポーツライター 戸塚啓


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