松原良香コラム mano a mano
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松原良香コラム mano a mano

松原良香コラム mano a mano

第19回 田中慎吾さんA(イマキュレイト ピクチャーズ(株)代表取締役/フォトグラファー)

田中慎吾さん
松原 田中君は26歳で独立してから今まで続けることができてるわけだから、それは素晴らしいことだよね。15年の間で、独立の次の転機はある?

田中 転機があるとしたら、30歳を過ぎてスタジオやろうと思ったことかな。31〜32歳くらいで仕事が落ち着いてきたときに、何かしなきゃと思いながら構想だけは練ってたんだけど、自分がスタジオをやるというようなことに向いている人間だとは思ってなかったからね。まあ、それは今でもあまり思ってないんだけど(笑)。実際に38歳でスタジオをオープンするんだけど、それは、いまここで何かやらなきゃいけない、と考えて動いてたという感じに近い。

松原 でも、そこで本当に会社をつくったというのがすごいよね。やっぱり行動力というか実行力があるんだと思う。

田中 まあ、家族もいるしね。とはいえ、大手の会社を相手にするなら、会社にしたほうがといいだろうっていう、わりと簡単な発想から会社をつくったので、全然勉強不足だった。だから今は少しずつ、経営者1年目として勉強中だね。

松原 じゃあ今は、いわゆる会社的なもの、例えば経理とかはどうしているの?

田中 いや、うちはまだそんな大きな組織ではないからね。税理士に相談しながら、社会保険だとか役員がどうとか、自分でやってるよ。

松原 そして、経営者でありながら、なおかつ、自分で営業もして、仕事もこなして、すべてやるわけだね。

田中 そうだね。でも、カメラマンとスタジオの、この2足の草鞋はいけると思うので、このままこれで行きたいなと思ってるよ。だからスタジオをオープンしたというのが、第2の転機になるのかな。次の近い目標としては、2年後くらいを目指して2軒目を出すことかな。

松原 なるほど。しっかり将来を見ているんだね。

田中 うちの規模は、100平米弱のスペースなので、スタジオとしては決して広いほうではない。そうなると、1回の撮影で10時間とか、長い時間使うスタジオではないんだよね。うちはもうちょっと細かく、数時間単位で使ってもらうスタジオなので、経営的なことを考えると、やっぱりもう1軒あったほうがいい。

松原 スタジオの広さっていうのは一般的にどれくらいなの?

田中 それはスタイルにもよるので一概には言えないけれど、たくさんカット数が撮れるようなスタジオだったら200平米とか、あとは家1軒とか、倉庫みたいなスタジオもあるしね、でもそういうところは都心から少し離れている場合が多いので、僕は都心型で、駅も近くてっていう手軽に使えるスタジオをやりたい。スタッフとモデルがパッと来て、撮影して、そこで解散できる感じで。やっぱり駅に近いというのはかなり大きいんだよね。

松原 なるほどね。機材なんかもあるだろうから便利だね。

田中 あとはね、話をするときに「狭いスタジオなので」とちょっと控えめに言ってるのが逆に功を奏してるみたいで、「意外に広いね」と言ってもらえることが多い。壁も白いから視覚効果もあるかもしれないけど。

松原 広く見えるんだね。

田中 うん。あとは雰囲気が気持ちいいと思ってもらえることも多くて、特に女性にすごく気に入ってもらうと「このままここで打ち合わせしていっていいですか」とかね。そういう感覚で使ってくれるっていうのは、ある意味僕の狙い通りだったから嬉しい。だから、スタジオはもう勝手に回っている感じかな。やってよかったなと思う。まあ、デザインの流行り廃りはあるから、定期的にリニューアルはしていかなきゃいけないし、そういう流行には敏感でいなきゃいけないんだけど。

松原 そういう流行り廃りは、どこでつかむの? 自分で足を運んで?

田中 僕はすごくファッションに凝ってるっていうわけではないけど、自分が買い物へ行くときには、店の内装はやっぱり気にしてるね。あとは展示会に行って、プレスの部屋がお洒落だったりすると「これ誰がデザインしたんですか」ってきいて、デザインした人に会いに行って、その人からいろいろ意見を聞いたりするかな。壁の汚しのテクニック、こういう古びた感じはどうやって出すのかとか聞いたりね。

松原 やっぱりここでも行動力だね。

田中 それで今回たどり着いたのが、ロンハーマンの内装を手がけた人で、日本人なんだけど、この人にお願いしようと思って。最初はニューヨークのSOHO的な方向に持っていこうかなと思ってたんだけど、スタジオブックっていういろいろなスタジオが載っている本があるんだけど、それを見ると、やっぱり既にやってるところが結構あって。そうなると一緒になっちゃうなと思ったんだよね。窓枠は黒にしようかなと思ってたんだけど、白にしようかなと思って相談して、デザイナーの人も白がいいって言うので変えたりとかね。ブリックタイル貼るのも考えたけど、それも流行りで既にやってるところがいっぱいあったので、塗り壁にして、木の板を貼った。そうしたら、ちょっと西海岸ぽくなって、でもアイアンのテーブルと椅子を置けばニューヨークっぽくもなるし、結果オーライな感じでうまくいった。まあ今後はまた流行を見ながら、窓枠黒く塗って雰囲気変えたりすることもあるだろうけど、やっぱり、スタジオのデザインは他人には丸投げできないから、自分でしっかりやりたいよね。

松原 スタジオとカメラマンをやっていて、それぞれのやりがいはどういうところ?

田中 そうだね、スタジオに関しては完全に経営する面白さだね。これからどうやって大きくしていこうかとか、どう節約していくかとか、経営者という立場は自分にとってまだ新鮮だから、面白いような怖いようなっていう面白さ。カメラマンに関しては、もう現場が楽しいということに尽きるかな。カメラマンというのは、現場のディレクションも仕事だから、少なからずビジョンがないと、みんなバラバラになってしまうんだよね。それをこうひとつにして、それでみんなで作品をつくっていくっていう、忙しくて大変でもあるんだけど、すごく楽しんだよね。撮影が終わったあとは毎回、本当にああ頑張ったなっていう達成感があるし、大変だから面倒になるとか、そういうネガティブな気持ちにはならない。大きい媒体になればなるほど達成感と楽しさは比例して大きくなるし、名前も知ってもらえるしね。もちろんプレッシャーはあるし、プレッシャーに負けることも若い頃は結構あったけど、その悔しさをどう次に生かすかっていう自分との闘いの面白さもある。まあ、それはみんなそうかもしれないけどね。

松原 サッカーにも共通する部分はあるのかな。

田中 カメラマンとして楽しいのは、やっぱり、かっこいい写真が撮れたとき。何で写真を撮ってるのかと言われたら、それはやっぱり写真が好きだからって言うしかない。写真が好きだからいい写真が撮れたら嬉しい、まずはそこだね。それはサッカーもそうでしょ。なんでサッカーが好きなのって言われたら、サッカーが好きだからでしょ。

松原 たしかにそうだね。いい写真を撮りたい、撮るために経験を積みたい、技術を身につけたいっていうのはサッカーが上手くなるのと同じだね。

田中 あと、サッカーもチームだからコミュニケーションが重要だと思うけど、カメラマンもモデルとコミュニケーション取れないといい写真はなかなか撮れない。技術だけじゃだめなんだね。そういったことがすべて一体になったときに、「ああ、これこれ」っていうイメージ通りの写真が撮れる瞬間があるんだよ。服って、衣食住の必要性でいったらいちばん最後にくるものだから、いちばん最初に切られていくものなのかもしれないけど、やっぱり必要だからこれだけ種類がたくさんあるんだろうし、見たい、知りたいって思っている人が少なからずいるからこういう仕事があるんだろうし、まあ誰かの役には立っていると思える仕事ではあるかな。自分がいま、社会に貢献できることっていったら、写真を撮ることになるんだと思う。

松原 カメラマンとスタジオ運営と、両方やる人って結構いるの?

田中 うん、いるよ。やっぱり専門だから、ここはスタジオになるっていうような場所の光の流れなんかがわかるんだよ。あと、仕事でいろんなスタジオを見てると、自分ならこうしたいっていうのが出てくるんじゃないかな。

松原 それだったら自分でやろうとなる。

田中 そうそう。でも、やっぱり自分のスタジオには愛着がわいてくるよ。

松原 それはそうだよね。いまは、田中君以外に誰かアシスタントみたいな人はいるの?

田中 いや、いないんだよ。

松原 でも、次にまた新しくスタジオをやるってなったら、絶対に必要になるよね。

田中 うん、そうなんだよね。どうするかなんだよね。今まではどちらかというと、自分で何でもやってきたほうだから。自分でやらないと気が済まないというのもあってね。でもスタジオを始めてからはもう、人に任せることの重要さも考えるようになった。もう丸投げするくらいにね。スタジオ作りからそうだったけど、もちろん自分の意見も多少は入れるけど、デザイナーに任せるっていう。全部やってたらこっちがもう壊れるから、「任せられる人」っていうのは本当に人材、財産なんだと思う。

松原 じゃあ今の課題はそういったところ?

田中 そうだね、いい人材を見つけて、次のスタジオにつなげていけるような感じにできたらいいなと。長い付き合いができるような人。誰かいない?(笑)

松原 ははは。じゃあ、今後の目標としては、まずは数年後にもうひとつスタジオ持つっていうことなんだね。ではカメラマンとしては?

田中 そうだね、それはやっぱり、肩書きはフォトグラファーなので、写真家として大成したいかな。そのためのスタジオでもあるとも言えるし、やっぱり全部、そこが根本にあるから。まあ、40代のうちに広告で有名なカメラマンの、100人のうちの1人には入りたいなっていうところかな。

松原 なるほどね、それはわかりやすいね。100人のうちの1人。

田中 うん。100人のなかには入りたいな。腐るほどいるからね、カメラマンは。

松原 僕も協力できることがあれば協力するので、今後ともよろしくお願いします。今日はありがとう。

田中 いえいえ、こちらこそ、よろしくお願いします。


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